猫兎ライフ

美味しい食べ物にうまい酒、面白い本に楽しいゲーム、それさえあれば幸せです。

【読書感想文】アメリカン・スナイパー/クリス・カイル

f:id:catrabbitnekousagi:20150527145223j:plain

本の紹介

この本は、アメリカ海軍特殊部隊SEALの狙撃手であったクリス・カイルによる自伝です。彼は、4度のイラク戦争従軍中に公式記録として160名の敵を射殺しています。この数は、米軍史上最高記録です。また、1900m超えの長距離狙撃にも成功しており、まさにザ・レジェンドと呼ばれるにふさわしい存在です。

   

感想

実際の従軍経験が書かれているので、その内容は過激で、平和な国に生きる私にとってはどこか現実離れした響きさえ感じてしまいます。銃撃を受けたり、RPG(対戦車ロケット)や手榴弾やIED(即席爆弾)が身近で爆発するのは日常茶飯事といった感じです。下手な戦争映画なんかより、銃弾が飛び交っています。

夫として、父親としての苦悩も記されています。カイルはSEAL入隊後に結婚し、数度の派兵の間に子供も生まれています。母国に残された妻の心配や、長期の派兵による家族のすれ違いがありました。妻視点での文章も挿入されているので、残された家族の心労や苦労がよくわかります。カイルは戦闘のちょっとした合間に家族に電話連絡していたので、余計に心配を煽ったようです(接敵中なのでひそひそ声で話したり、電話中に銃撃戦になったり)。

この戦争の英雄は様々な経験をします。きつい訓練、軍隊特有のしごき、自らの負傷、戦友の死や家族との不和などです。カイルはテキサス出身のカウボーイ、正真正銘のタフガイです。バーでの喧嘩は連戦連勝で、狙撃の腕はもちろん、前衛としても活躍しています。そんなカイルでさえ、何度も死にかけ、救えない仲間もいて、帰国後は酒に溺れたりしています。戦争が人に与える影響とはこういうものなのだと実感できました。

映画化

この自伝は、映画化もされています。タイトルは同じく「アメリカン・スナイパー」。クリント・イーストウッド監督です。興行収入は、プライベートライアンを抜き、戦争映画として1位になったそうです。映画の方が有名なので知っている人は多いとおもいます。ちなみに私は、劇場で観そびれて、DVD化もしていない時期に知ったので先に小説を読みました。DVDかブルーレイがでたら観たいと思っています。

カイルの現在

カイルは除隊後、民間軍事訓練会社を経営しつつ負傷した元兵士を支援する活動をしていました。しかし、2013年にPTSDを患うとされている元海兵隊兵士によって射殺されています。

カイルの冥福を祈ります。

 

アメリカン・スナイパー (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

アメリカン・スナイパー (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

アメリカン・スナイパー

アメリカン・スナイパー