猫兎ライフ

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リアル黒髭ティーチ世代の人物【読書感想文】フランクリン自伝/フランクリン

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フランクリン自伝 (岩波文庫)

本の紹介

アメリカ独立の時期に活躍した人物、ベンジャミン・フランクリンの自伝です。タイトルにある通り、かの有名な海賊「黒髭ティーチ」と同じ時代を生きた人です。フランクリンが生まれたのが1706年で、黒髭が海軍に殺されたのが1718年です。フランクリンは、黒髭の最期を時事小唄(新聞がない時代に、真新しい事件を取り扱った民謡風の詩)にして売り出し、かなり売れたそうです。

   

感想

印刷工として働き始め、行き当たりばったりで各地を転々としながら、議会に参加し、軍隊も率い、アメリカ独立の混乱期を経て、ひと財産を築くという波乱万丈な人生が書かれています。海賊が海を荒らしまわっている時代、インディアンの襲撃がある時代、職人はビールを飲みながら仕事をしている時代です。今では信じられない環境です。

フランクリンは十三徳で有名です。

1節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。

2沈黙 自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。

3規律 物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。

4決断 なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。

5節約 自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。

6勤勉 時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。

7誠実 詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口にだす事もまた然るべし。

8正義 他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。

9中庸 極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。

10清潔 身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。

11平静 小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。

12純潔 性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。

13謙虚 イエスおよびソクラテスに見習うべし。

現代とは比べ物にならないくらい混沌とした時代に、フランクリンが打ち立てた処世術です。 古臭いなどと一蹴せずに、実践してみると良いのかもしれません。よくよく見てみると、いずれも理にかなっており、実践者の精神力が必要とされるものです。フランクリン自身は、この十三徳をメモに記してつねに自分が実践できているかをチェックしていたといいます。初めのうちは反省事項が多かったようですが、継続するうちに実施できる項目が増えていったようです。

いつの時代も実践が大切です。本を読んでその気になって終わりでは成長はありません(自戒)。

 

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

 

 

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)