猫兎ライフ

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普通の小説【読書感想文】スタンド・バイミー/スティーブン・キング/新潮文庫

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Stand by Me / スタンド・バイ・ミー - YouTube

紹介

アメリカのモダンホラー作家であるスティーブン・キングの作品です。4人の少年が死体探しの冒険に出る話です。キングは、「キャリー」や「呪われた町」などのホラー作品のイメージが強かったのですが、この話は良い意味で普通の作品です。吸血鬼も殺人鬼もゾンビも出てきません。

感想

1人の少年の視点で話が進んでいきます。情景、少年同士のやりとりや心情の描写など、目の前に光景が広がるようです。書き方がうまいのでしょうか?当時のアメリカの雰囲気がひしひしと伝わってきました。少年同士の友情だとか、半ばギャングと化した不良の兄との関係だとか、戦争の影響、複雑な家族関係なども書かれていました。フィクションだとは思いますが、裏表紙には「著者の半自伝的作品」とも書かれており、その時代を生きた人間として自分の経験が含まれているからここまでのリアリティーがあるのだと感じました。

同時収録されていた「マンハッタン奇譚クラブ」も良い感じでした。こちらは、中編と表現すべきくらいの長さの作品でした。まさに奇譚といった内容で、終始謎めいた雰囲気が漂い、ラストもすっきりしたのかしてないのか釈然としないという、素晴らしい話でした。

 

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

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