未読だと思っていたら、既読本でした。
【紹介】
『自動車の社会的費用 』で有名な経済学者、宇沢弘文さんの著書です。
【感想】
未読だと思って読み始めたら、すでにドッグイヤーや赤線が引いてあっってびっくりした本です。読んだ形跡はあるのに、全く記憶にないのです。書き込みは確かに私の筆跡なので、酔った勢いで読んだのかもしれません。
感想を書くほどの記憶はないので、過去の傍線部分を頼りに探っていきます。
日本に戻ってくると、自動車事故や大気汚染など人々が安心して暮らすことのできない環境にあることに気づきます。いわば「現代の日本の貧困」に向き合うのです。(新装版に寄せて/池上彰)
豊かな国であるはずの日本の、暮らしづらさ・生づらさを著者は問題視しています。
儲けることが悪いのではなくて、それによってどういう社会的、人間的な結果をもたらすかということを常に心に留める必要があるのではないでしょうか。(第1章)
市場原理主義に対する問題提起です。
豊かな社会とは、すべての人々が、その先天的、後天的資質と能力とを十分に生かし、それぞれのもっている夢とアスピレーションが最大限に実現できるような仕事にたずさわり、その私的、社会的貢献度に相応しい所得を得て、幸福で、安定的な家庭を営み、できるだけ多様な社会的接触をもち、文化的水準の高い一生をおくることができるような社会である。(第16章)
いくつか引用しましたが、著者は単なる利益追求を超えた次元の経済学者です。十分に発展して、国民全員が幸せに暮らすだけの富が十分にありそうな日本において必要なのは、単なる利益追求ではなくヒューマンセントリックな経済学なのではないでしょうか。
宇沢先生の著書を読むと、経済学のあり方について考えさせられます。
(おわり)