【紹介】
アメリカ人作家、ダニエル・キイスが1959年に発表した小説の日本語訳です。
日本では、2002年と2015年にテレビドラマ化されています。
【あらすじ】
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく・・・・・・天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?(表紙裏より)
【感想】
タイトルはかなり前から耳にしていたのですが、長くの間読むのを避けていた本です。2002年のドラマ化のイメージが強くあり、陳腐な印象を抱いていました。(ドラマを観たわけではないのですが、日本のドラマは安っぽくて嫌いなのです。)
完全な食わず嫌いの状態で過ごしていたのですが、先日本屋に寄った際に偶然この本を見つけました。手にとってパラパラとめくってみると、非常に面白そうなので購入しました。
話の内容は、表紙裏に書かれているあらすじのとおりでした。知的障害(原文のまま「害」の文字を使います)を持つ主人公が、手術により回復し知能を向上させていく様子が描かれています。
知能を獲得するごとに苦悩が増していく主人公の様子は、幸せのあり方について考えさせられます。頭が良くなっても他人を思いやる心がなければ軋轢を生むばかり。障害があったときに他人から受けた仕打ちも、初めて理解できるようになります。
知能というものは、テストの点数だけではありません。
他人に対して思いやりをもつ能力がなければ、そんな知能など空しいものです。(日本語文庫版への序文より)
色々と考えさせられる小説でした。
(おわり)