「では、敵とはなんだ?時間には関与しない『絶対的な敵』とは?そんな敵は地球上には存在しない。なぜなら敵はいつも同じ人間だからだ。『相対的な敵』でしかない」(本文より)
【紹介】
大人気ゲーム「メタルギア」シリーズのノベライズ作品です。本書は、「メタルギアソリッド3」が元ネタになっています。
【感想(のような、ネタバレのような)】
MGS1のテーマは「GENE(遺伝子)」、MGS2のテーマは「MEME(文化的情報)」でした。そしてMGS3のテーマは「SCENE(時代)」です。これは、時代に翻弄された2人のBOSSの物語です。
1964年、冷戦の真っただ中にスネークは単身ソ連領内に潜入します。ソ連の技術者奪還という単純な任務のはずが、全面核戦争の火種となるような大事件に巻き込まれます。最愛の師であるザ・ボスの裏切り、コブラ部隊やGRUといった強敵を乗り越え、スネークはザ・ボスと対峙します。冷戦がなければ殺し合うことはなかったであろう2人。国家という枠組みに縛られることがなければ相対することはなかったであろう2人。帰還後、スネークはザ・ボスの真実を知ります。ザ・ボスを超える存在として「BIG BOSS(ビッグ・ボス)」の称号を与えられますが、スネークは国を離れ新たな戦いに漕ぎだします。そしてピースウォーカー、ファントムペインへと繋がります。
メタルギアサーガの中心人物であるビッグ・ボスがいかにして誕生したかがわかる物語でした。実は私はMGS3をプレイしたことがありませんでした。ネットで調べてストーリーは知っていたのですが、ちゃんと物語と向き合ったことはありませんでした。このスネークイーターを読めば、MGS4でのオセロットやエヴァの行動もより深く理解できます。
著者の長谷敏司さんの文章も、メタルギアの雰囲気を壊さずに没入感を持って読めるのでゲーム経験者にもオススメの小説です。
(おわり)