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猫兎ライフ

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読む「昭和の歴史」【読書感想文】『昭和史』半藤一利/平凡社

   

 

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【紹介】

昭和の歴史が、読み易い語り口調の文体で書かれている本です。

 

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

 

 

昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)

昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)

 

 

【感想】

前から読みたいと思っていた本です。昭和の歴史が書かれた本は数多かれど、通史が読みやすく書かれた本は、なかなかありません。

いかにして日本が戦争に突入し、戦い、戦後復興していったのかが書かれています。天皇の在りかたや、マスコミが民衆に与えた影響など、現代でも参考にすべきトピックが盛りだくさんの本でした。

昭和天皇が以後、内閣や軍部が一致して決めたことにノーと言わない、余計な発言をしないいう立場を守り抜く、つまり「君臨すれども統治せず」、これが立憲君主国の君主のあり方だと自ら考えた。昭和史は常にここからはじまり、これがのちに日本があらぬ方向へ動き出す結果をもたらすのです。(本文より)

 

新聞の果たした役割はあまりにも大きかった。世論操縦に積極的な軍部以上に、朝日、毎日の大新聞を先頭に、マスコミは競って世論の先取りに狂奔し、かつ熱心きわまりなかったんです。…民衆はそれらに煽られてまたたく間に好戦的になっていく。(本文より)

 

結果がどうあれ、日本は「世界を侵略してやろう」とも「アジアを欧米の支配から解放しよう」とも考えずに戦争に突入したのだと私は思っています。政府の無策、軍部の暴走、民衆の加熱が相まり、なし崩し的に開戦に至ってしまったのだろうと思います。

その点、今の日本は戦争をおっ始める心配はなさそうです。中国や北朝鮮の連日の挑発行為に対しても民衆は冷静で、SEALDsのような学生運動も一過性のもので終わりました。非常に冷めています。今度は逆に、相手から仕掛けられそうな雰囲気です。日清、日露、太平洋戦争と最近の戦争ではいずれもこちらから仕掛けていたので、攻められる歴史を学ぶには元寇まで遡る必要がありそうです。

この本は昭和の通史ですが戦後復興まででほぼ終わりとなっています。その理由としては、最近の部分はもはや我々が生きる現代史であるということが1つあります。そしてもう一つの理由が、

それに実際問題としては、データが完全に出切っていない可能性があります。国際的にも情報公開法といって、三十年間は資料を出さないことが認められています。(本文より)

というものです。今を生きる我々は世の中を分かったつもりになっていますが、公開されていない情報もたくさんあるはずです。「平成史」が客観的に評価されるのは、まだまだ先のことになりそうです。

(おわり)