猫兎ライフ

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【読書感想文】日本人だけが知らない戦争論/苫米地英人/フォレスト出版

あなたが教わった戦争の歴史は全てウソ!(帯より)

 

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日本人だけが知らない戦争論

   

本の紹介

苫米地英人さんによる戦争の本です。「戦争論」というと、真っ先にクラウゼヴィッツの戦争論(戦争論〈上〉 (中公文庫))が思い浮かびますが、この本では戦争そのものではなく、誰が何のために戦争を起こしているのか?という内容が書かれています。

目次

まえがきー戦争は本当に悪か?

第1章 これから日本は戦争に巻き込まれるのか?

第2章 クロムウェルはなぜ戦争を起こしたか

第3章 なぜ、金融資本家たちは戦争を起こしたいのか?

第4章 国際金融資本はいかにして王様から権力を奪っていったか

第5章 「世界大戦」という壮大なフィクションを暴く

第6章 来たるべき第3次世界大戦と「国家洗脳」の手口

第7章 21世紀の戦争は「5次元化空間」で繰り広げられる

あとがきー戦争は国家による国民の収奪だ

感想

戦争を起こしているのは、金融資本化だというのがこの本の主張です。胡散臭い陰謀論の類かと思いながら読み進めていたのですが、読めば読むほどこの本の主張が現実味を帯びてきました。詳しい論理は本に譲りますが、「戦争ほど儲かる商売はない」というのがキーです。戦争を望む人たちというのは、どうやら存在するようです。

著者は、メディアからの情報にも警鐘を鳴らしています。最近やたらと、愛国心をあおったり、反中・嫌韓を助長するような本やネットでの発言が目立つようになったと私も感じています。これが、意図的な情報操作によるものだとしたら、憂慮すべき事態でしょう。苫米地さんは、オウム真理教の脱洗脳にも関わった経歴があり、洗脳・情報操作に関する著書も書いています。

また、敵国条項にも触れられています。敗戦国である日本が国連加盟国を侵略するような事態になれば、安保理の許可なしに日本に対して制裁戦争が可能になるというものです。Wikipediaでは、事実上死文化されたと書かれていますが、確かなことではありません。著者は、憲法改正や国内法の整備よりも、敵国条項の対象から日本が外れることが重要だと説いています。たしかに、近隣の国といざこざが起きた場合に、敵国条項が効力を発揮してしまったら、日本は窮地に立たされます。

【まとめ】

・戦争を起こしているのは金融資本家

・メディアの動向にも要注意

憲法や国内法の改正よりも、敵国条項がネック

著者である苫米地さんは、この世に確実なものはないと常々本に書いています。確実なものがないというのは、各種の不確実性原理や不完全性定理で証明されていることです。ですので、ニュースや、ネットの情報が正しいとは言い切れません。この本の情報も間違っているかもしれません。大切なのは、より多くの情報チャンネルを確保することだと、私は思います。テレビばかり見ずに、いろんな著者の本を読み、時には海外メディアのサイトを覗いてみるのも良いのかもしれません(自戒)。

 

日本人だけが知らない戦争論

日本人だけが知らない戦争論