「企業秘密を公にするのですから、僕にとっては、正直、不利益な本なのです」(本文より)
【紹介】
「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで有名な漫画家、荒木飛呂彦さんによるマンガの書き方の本です。
【感想】
荒木飛呂彦著ということで、ずっと気になっていた本です。現役の大人気漫画家による、マンガの書き方の本というのは前例がないのではないでしょうか。
目次
はじめに
第一章 導入の書き方
第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
第三章 キャラクターの作り方
第四章 ストーリーの作り方
第五章 絵がすべてを表現する
第六章 漫画の「世界観」とは何か
第七章 すべての要素は「テーマ」につながる
おわりに
漫画の書き方について、テクニカルなことから心構え的なことまでいろいろと書かれています。
キャラクターごとに「身上調査書」というものを作り、 性格や長所・短所はもとより、身長・体重・血液型・将来の夢・恐れているもの・家族・声の質・視力等々、細かい部分まで作り込んでいるのに驚きました。売れている漫画家というのは天才肌というイメージがあり、ディティールにこだわりすぎずにフィーリングで書いているイメージがありました。荒木先生は、ストーリーの盛り上がり方、人の関節、人体のパーツの配置の比率、コマの視点など、こだわりにこだわり抜いて描いているようでした。
トップを走る漫画家がこれだけ考え抜いて描いているのですから、後発組が追いつこうと思ったら尋常ではない努力が必要なのではないかと思います。どの分野も、第一人者というのは人の見えないところで多大な努力をしているものなのだと感じました。
漫画家を目指していなくても、プロの仕事を覗くことができるので非常に興味深く参考になる本です。
(おわり)