猫兎ライフ

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『ビッグ・シェル占領事件』【読書感想文】メタルギアソリッド サブスタンスⅡ マンハッタン(METAL GEAR SOLID SUBSTANCE II)/野島一人/角川文庫

   

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2009年、ニューヨーク。

雷電VS愛国者

テロの首謀者は、「英雄」ソリッド・スネーク!?FOXHOUNDの新兵が遭遇する史上最悪の陰謀。(オビより)

 

【紹介】

大人気ゲーム「メタルギア」シリーズ、メタルギアソリッド2のノベライズ作品です。

 

   

 

【感想(ちょっとネタバレ)】

前作のMGSのテーマは「GENE(遺伝子)」でした。そして今作のテーマは「MEME(文化的情報)」です。

マンハッタン沖の海洋プラント、ビッグ・シェルで起きたテロ制圧のため主人公である雷電は単身出撃します。しかし事件は単なるテロにとどまらず、雷電は大きな陰謀に巻き込まれていたことを知ります。S3計画によりMEMEを作為され、操られていたと知った雷電アイデンティティーは崩壊します。任務や仲間は信じられず、自分の記憶さえも確かなものではなくなります。拠り所を失った雷電の最後の支えとなったのが、「ソリッド・スネーク」というMEMEでした。

「伝説の英雄」。「不可能を可能にする男」。かつてスネークは、シャドーモセスで自らの呪われた出自を知り、任務とは名ばかりのウイルスのベクター(運び屋)として潜入させられていたことを知ります。そんな状況の中でも、旧友キャンベルとの約束を果たし、メタルギアREXを破壊して核の脅威を排除しました。「敵も味方も信じられない状況でも自らを信じ行動する。そしてやるべきことを完遂する。」、これがスネークのMEMEです。BIG BOSSのクローンとして生まれたソリッド・スネークは子を為すことができません。それでも雷電は、スネークから「何か」を受け取ったことは確かです。人が後世に伝えられるものはGENE(遺伝子)だけではないという強いメッセージが伝わってきます。

また前作に引き続いて、ひとりの少年が語り手として登場します。この少年もまた「ソリッド・スネーク」と接し、MEMEに縛られていた自分を解放します。

ラストはやや後味悪くなっていますが、そこはみなさんご存知の通りで、メタルギアソリッド4ガンズオブザパトリオットに続きます。

(おわり)