【紹介】
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。(本文より)
の書き出しで有名な、川端康成さんの小説です。
【感想】
端的に要約してしまうと、妻子持ちのエリートニートが温泉街の女のもとに通う話でした。
寂れた田舎であろう舞台において、ヒロイン(?)の駒子は、活力にあふれ非常に魅力的に書かれています。働く必要がなく、ぶらぶらしている主人公のような男には気になって仕方のない存在だと思います。
私は、有名な冒頭の一文しか知らず、どんな名作だろうと読み始めましたが、何のことはなく、男と女の話でした。考えてもみれば、「男と女」というのは古来からあるテーマで、「ロミオとジュリエット」や「源氏物語」から、現代の村上春樹に至るまで、文学作品では常に目にします。村上春樹の小説も、「やれやれ、僕は射精した」に集約されます。
近〜現代の傾向としては、「隔世・厭世的でニヒルな男主人公がやけにモテる」というのがあると思います。男女関係の傾向を反映しているのか、ただの作家の願望なのか。何かの参考になるかもしれません。
(おわり)