【紹介】
哲学の本です。
- 作者: バートランドラッセル,Bertrand Russell,高村夏輝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/03
- メディア: 文庫
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【感想】
タイトル詐欺です。全然、「入門」のレベルではありませんでした。普通に難解な内容の本でした。原題を見てみると、”The Probrems of Philosophy(哲学の諸問題)”となっており、「入門」的なニュアンスはありませんでした。
難解な本でしたが、収穫もありました。それは次の一文です。
問いに対して明確な解答を得るために哲学を学ぶのではない。…(中略)…むしろ問いそのものを目的として哲学を学ぶのである。なぜならそれらの問いは、「なにがありうるか」に関する考えをおしひろげ、知的想像力を豊かにし、多面的な考察から心を閉ざしてしまう独断的な確信を減らすからだ。そして何より、哲学が観想する宇宙の偉大さを通じて、心もまた偉大になり、心にとって最もよいものである宇宙と一つになれるからである。(本文より)
哲学を学ぶ意義に関する記述です。人工知能やロボットが発達する中、人間固有の価値である「考えること」について、極めて示唆に富んだ内容だと思います。どんなに技術が進歩しても、最終的に判断を下すのは人間なので、その人間の思考が凝り固まっていては、よりよい未来など望むべくもありません。
(おわり)