【紹介】
第155回芥川賞を受賞した作品です。2016年9月号の文藝春秋に全文が掲載されていました。
【感想】
恋愛や結婚をせず就職もせずにずっとコンビニバイトを続けている女が主人公だと聞き、既存の価値観にとらわれない幸せの形を提示するような内容の小説だと思っていたのですが、違いました。良くいえば文学的、悪くいえば内容の無い小説でした。
主人公の女は発達障害というかアスペルガー症候群というかコミュ障というかそれらをごちゃ混ぜにしたような性格で、途中から登場するある男はネットやテレビの受け売りのような言葉を繰り返すだけの中身の無い人物でした。最近流行りの要素をごちゃ混ぜにしたような印象を受けました。小説のラストも特に何か教訓を示唆するようなものではなく、「そう終わっちゃう!?」という感じでした。
しかし、中身のあるなしだけが小説の評価ではありません。文章は非常に読みやすくてボリュームもちょうど良く、ゆっくり読んでも2〜3時間ほどで読了しました。コンビニの仕事や人間関係が非現実的なまでに不気味に描写されていて、とても面白かったです。
(おわり)