【紹介】
現代の戦場で活躍しているロボットについて書かれた本です。
【感想】
ロボット、そしてAIが直面している様々な問題を理解する上で非常に参考になる本でした。身近に存在する技術の多くは軍事目的で開発されたものであり(インターネット、GPS、原子力など)、開発当初は必要に迫られ問題をはらんだまま実戦に投入されてきました。アメリカではロボットに多額の予算がつぎ込まれ戦場に送り込まれていますが、戦果を挙げるとともに問題も浮かび上がっているようです。
消耗品として開発したはずのロボットに情が移ってしまい危険な任務に投入できない、無人機からの映像が見えるために星の多い人たち(将軍クラス)から指揮系統を無視した命令が来る、自立型のロボットが友軍や民間人を誤爆したら誰が責任を取るのか、などなどです。
戦場という極限状態だからこそ、技術のもたらす問題が浮き彫りになるのだと思います。写真加工アプリで壁のシミを顔だと認識してしまうのは面白いネタですが、IFF(敵味方識別装置)の誤作動は笑い話では済みません。監視ロボットの普及によるプライバシーの侵害、高度なAIを搭載したロボットの人権の有無などは近い将来一般社会でも問題になるトピックだと思います。
かなりボリュームのある本でしたが、SFや先端科学の話も交えて書かれており読みやすい本でした。
- 作者: P・W・シンガー,小林由香利
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/07/28
- メディア: 単行本
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(おわり)