猫兎ライフ

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ツッコミどころはあるが【映画レビュー】『ゴースト・イン・ザ・シェル』

   

 

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ghostshell.jp

【紹介】

士郎正宗さんの漫画「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」が原作となっている映画です。2017年4月7日公開です。アニメの映画やテレビシリーズはありましたが、実写化は初めてです。

【感想】

ツッコミどころは多々ありましたが、十分以上に観れる映画でした。ストーリーは一応オリジナルですが、ところどころにアニメ版のネタが仕込まれているのでアニメファンとしては嬉しかったです。アニメ映画の「GHOST IN THE SHELL」だけでなく他のシリーズからのネタも混ざっているので、これはあの作品のネタかな?とか考えつつ観れたのも良かったです。

ネタバレはしたくないのですが、どうしてもツッコミたくなる点がいくつかあったので書きます。

〈吹き替え版がすごく気になる〉

私が観たのは字幕版ですが、実は吹き替え版もすごく気になっていました。吹き替え版は、少佐=田中敦子、バトー=大塚明夫、トグサ=山寺宏一とアニメと同じ声優さんなんです。この映画を観ている最中も、脳内で吹き替えボイスをずっと想像していました。

〈バトーの好きなセリフが2つも無かった〉

私が好きなバトーのセリフが2つともありませんでした。残念です。1つ目は追い詰められたチンピラ(光学迷彩を着て、サブマシンガンで強装弾を固め撃ちしてフレームとバレルをダメにしたあの人)が「俺は吐かないぞ」的なことを言った後の、「吐くぅ?」というセリフです。電脳ハックされて記憶をなくした相手に対する侮蔑と憐れみの混じった感じが好きでした。2つめはおなじみの「素子ぉぉぉお!」です。

〈ター○ネーター2のあの人!?〉

作中で、一瞬T-1000の人(ロバート・パトリック)そっくりの表情の人がいたので、まさかと思って調べましたが、違いました。

〈アヴァロン〉

アヴァロンアパートは、押井守監督作品の「アヴァロン」が元ネタなのかなと思いました。

〈サイトウ〉

ほんの一瞬、最後の最後でサイトウの見せ場がありました。それ以前に登場していたのかも知れませんが、存在感がなさすぎて気づきませんでした。

〈トグサ、テメーはだめだ〉

実写化で一番許せないのが、トグサです。役者の雰囲気が全然マッチしてなくて、怪しい中国人風なのは百歩譲って見逃しましょう。ですが、声を大にして言いたいことが一つ。マテバはどこへ行った!?お前はマテバが好きだったんじゃないのか!?素人目に見ても、劇中でトグサが使っていたのはマテバではないとわかりました(あれは銃身のデザインからしてコルト・パイソンっぽかった)。実写化で多少の変更は仕方ないにしても、トレードマークを無くしてしまうのはいかがなものかと思いました。

【まじめな感想】

ここからはネタバレを多分に含んでしまうのでご注意ください。

アニメ版と実写版の大きな違いは、時代背景にあると思います。アニメ版では義体化・電脳化はより普及した技術として描かれていましたが、実写版ではまだ黎明期にありました。主人公のキリアン少佐が完全電脳・義体の第1号でした。ラストで少佐をネットの海に誘うのはAIではなく義体化された人でしたし、結局少佐はネットと融合しませんでした。

監督は新聞のインタビューでより身近な作品を作りたかったと話していました。視聴者がより親近感を抱くためにテクノロジーのレベルと、エンディングの着地地点を下げたのだと思います。また、実写化というのもストーリーに少なからず影響を与えていると思います。実写でぶっ飛んだ設定にすると違和感がありすぎてとても観れたものではなくなってしまいますが(TBSの「安藤ロイド」とか…)、アニメなら難なく受け入れられます。より広い視聴者層に受け入れられるため、キワモノ感をなくすために今回のストーリーの変更は必要だったと思います。

受け入れられやすい設定になっているのでシリーズ未経験者でも観れる内容になっていますし、アニメ版の名シーンやネタもたくさん登場するのでファンでも楽しめる映画です。

 ↓アニメ版

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 [Blu-ray]

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 ↓原作漫画

攻殻機動隊(1) (ヤングマガジンコミックス)

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(おわり)