【紹介】
最近なにかと話題のカタルーニャの歴史について書かれた本。
【感想】
カタルーニャが独立するとかしないとかニュースで耳にしたので、カタルーニャについて学ぶためにこの本を購入した。独立問題が浮上するまで、カタルーニャという名前すら聞いたことはなかった。
この、イベリア半島地中海岸の北東部にある小さな「国」は、現在は大部分をスペインに、そしてのこりわずかな部分をフランスに呑み込まれた状態になっていて、普通、我々が接する世界地図上にはその名が現れていない…(本文より)
ヨーロッパの一地域であるカタルーニャが、なぜ今更独立などと騒ぎ出したのだろうか。
カタルーニャには「国」としての条件がそろっている。独自の歴史、伝統、習慣、そして言語がある。(本文より)
カタルーニャの歴史を読むと、およそ普通のヨーロッパの国家の歴史と変わるところはない。王家があり封建制がありペストに苦しんだ、平均的なヨーロッパの国だった。たまたま巡り合わせが悪く、近代国家として独立することはなかったようだ。イギリスで言う所のスコットランドとかウェールズのようなものなのだろうか。
カタルーニャは現在大部分がスペイン領内にあるものの、文化の独自性は高い。ガウディもカタルーニャ人。ヨーロッパの言語はローマ帝国のラテン語からの派生言語が主だが、カタルーニャ語はスペイン語の子言語(ラテン語の孫言語)ではなく、ラテン語の子言語であり、スペイン語とは姉妹関係にあるそうだ。
確かに独自の言語と歴史を持っていて「国」と呼べるほどの文化圏を有しているのは理解できる。自治権が与えられながらも、中央政府への不満が積もっていくのも共感はできる。しかし、なぜ今更独立という話が持ち上がったのだろうか?そこまではこの本に書かれていないが、カタルーニャ問題を考える上での基礎知識として大いに参考になった。

物語 カタルーニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡 (中公新書)
- 作者: 田沢耕
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 新書
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(おわり)