【紹介】
塩野七生さんの歴史エッセイ「ギリシア人の物語」シリーズ最終巻。この巻では主にアレクサンドロス大王について書かれている。
【感想】
いまさらながら初めて知ったことがあるのだが、この本は「歴史エッセイ」というジャンルらしい。ローマ人の物語を読んだ時から疑問に思っていたことが解決した。事実に基づいて書かれているようであるが、論文然としているわけでもなく、歴史書・ノンフィクションにしては好き放題書いている印象だった。歴史エッセイならば納得だ。
前作のギリシア人の物語Ⅱはやや冗長な印象があったが、今回は終始面白かった。アレクサンドロス大王のカリスマ性が、文面にまでにじみ出ていたのだろうか。塩野さんも描く対象によって文章の熱量が違う気がするのでそれもあるだろう。(この人のカエサル好きは常軌を逸している。)
そしてあとがきには、
”「歴史エッセイ」は、この巻を最後に終えることに決めたので、…”
と書かれていた。寂しい気もするが、冷静に考えると塩野さんはもう80歳なのだ。塩野さんの本は間違いなく後世に残るだろう。
(おわり)