猫兎ライフ

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新しいタイプの鬱ゲー【ゲームレビュー】『This War of Mine』

   

 

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【紹介】

戦時下の荒廃した街で一般市民を操作し、長く生き残ることを目的とするゲーム。

steamで配信されている。

【感想】

戦時下の街で一般市民を操作するという一風変わったゲーム。建物を横に割ったような画面で操作する感じは「SKYHILL」に似ている。クラフト要素や空腹の概念があり、辺りを漁って素材を集めるのも同じ。ただ、SKYHILLが1行動毎のターン制だったのに対し、This War of Mineはリアルタイム制になっている。

タイトルで鬱ゲーだと紹介したが、このゲームの何が鬱かというと「どうすることもできない無力感」だ。初めてプレイした時の様子を以下に記す。

 

操作しているうちに慣れるだろうと思い、特に説明的なものは読まずにゲームをスタートした。大きめの家に3人の生存者がいる。まずは家の中を調べて使えそうなものをかき集める。ベッドや調理具を作っているうちに夜を迎える。夜は探索、警戒、就寝等から行動を選ぶ。何もしなくても腹は減るので、最低限食料は確保しなければならない。街の民家や学校、病院、スーパーに忍び込んで物資を頂戴するのだ。

昼は拠点の整備、夜は探索というリズムで日々を送るが、物資(特に食料)が不足してくる。夜間の襲撃の頻度も上がり、おちおち休んでもいられなくなる。クラフトのレベルを上げていないので、探索範囲を広げるための道具も作ることができない。ギリギリの状態で食いつなぐ中、決定的な出来事が起こる。

不足する食料を確保するために無理な探索をした仲間が住民の返り討ちにあい、重傷を負ってしまう。住民も生きるために必死なのだ。仲間の怪我を治療しようにも、医薬品のストックなどない。取引しようにも戦時下では医薬品は高価なので、とてもではないが手が届かない。せめてベッドで静養させてやりたいが、夜は襲撃があり休まらない。バリケードを設置しておらず、武器もないので賊を追い払うことができないのだ。そして傷が悪化し、死んでしまった。

仲間が死に、残りのメンバーは悲しみに暮れる。そして残された2人だけでは生活が成り立たなくなる。仲間の死によるストレスに加え、極度の空腹もあり動けなくなってしまったのだ。食べるものもなく、探索に行く気力も湧かず、夜は襲撃に怯え、手詰まりな状況。そしてまた1人が襲撃で受けた傷により死んでしまう。

残された1人は精神が崩壊してしまい、操作しようにも全く動かなくなる。どうしようもないまま何日か経ったある日、彼は自ら命を絶った。

 

「あちらを立てればこちらが立たず 」を地で行くゲーム。少ないリソース(資源)とマンパワー(労力)をいかに効率よく優先順位をつけて運用するかを試されるゲームだ。目先の事態に対処しているだけでは、後々困ることになる。1日1日を生き延びるのでさえ精一杯の状況下で、クラフトレベルを上げるための投資もしていかなければならない。ちょっとした選択1つにも、頭をかかえる面白さがある。

 

 1度全滅した後は、4人パーティーで開始した。人数が多い分食料の確保が大変だが、人手に余裕があるのでシフトが組みやすくなる。助っ人依頼や怪我人等、不測の事態にも対処できる。バリケードを設置し自衛のための武器もあるので、守りは固い。食料・医薬品の備蓄も十分にある。これならばいい線まで行けるのではないかと思う。

初見は、是非とも予習なしでプレイしていただきたい。そして、どうすることもできない無力感と絶望感に打ちひしがれてほしい。

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(おわり)