自殺したはずのヒトラーが現代にタイムスリップし、コメディアンになる。なんとも不謹慎で面白そうなストーリーだ。
現代によみがえったヒトラーは、あの制服・あのヒゲ面をしているにもかかわらず、誰にも本物だと認識してもらえない。むしろ笑われる。テレビに出演すれば、持ち前の話術と過激な発言で聴衆を虜にする。
最初はタブーに踏み込んだ面白いコメディだと笑えるのだが、だんだんに笑えなくなってくる。移民問題等で国民が抱える不満を大声で代弁し、愛国心を煽り、メディアを巧みに使い、支持を集める。80年前と全く同じなのだ。面白おかしく描写されているが、ヒトラーは全世界に戦争を仕掛け、ユダヤ人数百万人を虐殺した男なのだ。
現代に生きる我々がヒトラーを忘れないように。そして第2のヒトラーが生まれる可能性は十分にあるという警鐘的な映画だった。
(おわり)