「100年時代の人生戦略」
寿命が延びて100歳まで生きるのが当たり前になりつつある中、長寿をどう受け入れ対応していくべきかが書かれた本。
この本の内容はざっくり以下の3点。
①寿命は確実に伸びる
②これまでの人生設計は通用しなくなる
③老後を悲観せず新たな生き方を模索する必要がある
まず①の寿命について。寿命が確実に伸び続けていることは、データを基に説明されている。本文中にはまさに右肩上がりのグラフが載っている。2014年に生まれた子供の半数は109歳まで生きるのだそうだ。
②の人生設計について。寿命が延びるのだから、60まで働いて年金を受け取って70~80歳で死ぬという過去のモデルが通用しなくなるのは当然といえば当然。国の年金制度もみんなが100歳まで生きる想定では設計されていないだろうし、長生きする分個人の貯蓄が必要になるのも当然。
③の新たな生き方について。寿命が延びてお金が足りないと聞くと悲観的になるが、悪いことばかりでもないらしい。健康寿命も延びるからだ。人生の持ち時間が増えるということを意味する。仕事を長く続けてもいいし、別の仕事を探したり、起業や資産運用という選択肢もある。
この本は確実に訪れる長寿社会を考えるうえで大変参考になった。老後に2000万円必要とかで一時期大騒ぎになったが、あんな数字に大した意味は無いとも思えるようになった。老後にいくら必要かなんて、人によって違うからだ。
いくら稼げるか?所得はどの程度のペースで伸びていくか?貯蓄や投資の利回りはどの程度か?勤労人生を通した所得の状況はどうか?子どもを何人つくるか?どのくらいお金があれば、幸せを感じられるか?子孫にどのくらい遺産を譲り渡したいか?(本文より)
いわゆるライフプランというやつだ。家を買ったり出産や子供の就学がメインになりがちのライフプランも、今後は老後もちゃんと考える必要がありそうだ。子供を育てて仕事を引退したら人生終わりではない。その先が長くなってきているのだ。
日本には高齢化に加えて少子化という問題もある。寿命が延びること自体は問題ではないが、少子化は大きな問題だ。将来の働き手の絶対数が減っていく。しかしAIやロボットの技術が発達しているのもまた事実。終身雇用的な従来の働き方が過去のものになったというのも言われて久しい。
将来どうなるのかは、誰にもわからない。わからないからこそ、現実と向き合って自分のことは自分で考えていかなければならないと感じた。
(おわり)