めたくそ面白い海外ドラマをアマゾンプライムで見つけた。『ローマ』だ。古代ローマ帝国を題材にしている。時期的にはカエサルがガリアを平定したあたりから、初代皇帝となるオクタヴィアヌスがアントニウスを破り内戦が終結するあたりまで。
何が面白いって(全部なんだけど)、造りがしっかりしていること!塩野七生の「ローマ人の物語」を読んだことがあるので古代ローマにはうるさいこの私でも、満足のいく内容だった。
「ローマ=帝国=悪」とか「カエサル=暴君=悪」みたいなイメージが先行しがちだが、その辺が極めてニュートラルな描写になっている。
あと配役も素晴らしい。みんな役にドはまりしている。日本のドラマとか映画は、お飾りみたいな役者がいて、観ていて萎えてしまうことが多い。だがこのドラマは最高。これ以上はないと思わせるほど役がハマっている。特に好きなのは、マルクス・アントニウス。軽い感じの色男感が良い。あとポンペイウスの息子(名前忘れた)。小悪党感が良い。それからアティア。悪女というか、権力に溺れた感じが良い。ヴォレヌスも良い。堅い感じが百人隊長のイメージにぴったり。ブルータスも良かったね。神経質な感じが出てて。キケロの優柔不断な感じも最高だった。…とまあ、ひとりひとりあげていたらキリがないくらいだ。
時代考証というか、その辺がしっかりしているのも良かった。馬に鐙は無いし、鏡はゆがんでいる。貴族は寝転がって食事をしている。奴隷の扱いも当時の姿に近かったのではないかと思う。ローマでは奴隷は大事にされていたらしい。劇中でもカエサルのポスカの様に重要なポストに就いて重宝されている奴隷はたくさんいた。屋敷を取り仕切っている奴隷とか。
オリジナル要素(?)みたいなのも良かった。ヴォレヌスとプッロのことだ。「ガリア戦記」に記述があるらしいのだが、全然覚えていない。読み返さなければ。カエサリオンの実父のこととかね…。面白い歴史のIFだと思う。クレオパトラと××できるとか、プッロ羨まし過ぎだろ…
歴史に名前が登場する貴族、軍人の話もある。名もなき庶民の話もある。どれも当時の空気が感じられるようだった。街の喧騒とか、豪邸での会食とか。
前編10話、後編10話で合計20話。1話あたり50分前後あるので、20時間弱は観てられるので、この自粛期間にぴったりだと思う。
暴力描写、性描写、胸糞展開はあるので、苦手な人は注意だな。R指定あった気がする。2000年も前の話だから、セックスも殺しも日常茶飯事なのは当然か。
エミー賞8部門ノミネート、4部門受賞なので面白さは折り紙付き。
(おわり)