【紹介】
1897年に出版された、ブラム・ストーカーの小説です。
【感想】
いま世の中に存在する全ての吸血鬼モノの本・漫画や映画、ゲームの原典とも言える本です。
霧やコウモリに姿を変え、下等な動物を使役し、人間などは素手で簡単に捻り殺す。海や川などを生身で渡ることはできず、ニンニクや十字架が弱点で、心臓に杭を打ち込むか首を切り落とさなければ死ぬことはない。そんな吸血鬼に関することは、全てこの本に書いてあります。おそらく、当時のイギリスの民間伝承などをつぎはぎで集めたものなのでしょう。19世紀のイギリスには、まだ伝説上の化け物たちが息づいていました。
「あの風の中に、あの海鳴りの中に何かがやって来る。見てくれも、味も、匂いも、死そのものだ。…」(老人/本文より)
さて、吸血鬼というと「HELLSING」のアーカードのイメージが強く、ニンニクや十字架などはちょっと苦手という程度でそこまで効果の無いものだと思っていたのですが、本作中では驚くほどの威力を発揮していました。実際、ヘルシング教授のもとしっかりとした吸血鬼対策をされてしまったドラキュラ伯爵は、這々の体でイギリスから逃亡します。ヴァンパイア無双のように大暴れする展開かと思っていたのですが、闘いは静かに行われました。
この本を読むと、後の吸血鬼モノがいかに影響を受けているかがわかるので、更に面白くなります。ホラー・化け物系が好きな人必読の書です。訳が新しいので、すらすら読めます。
それにしても、「ドラキュラZERO」の、甲冑+長剣のスタイルが、零号解放したときの旦那に見えてしかたがありません。
(おわり)