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人の命を市場に委ねるのか:救急車有料化提案(軽症者対象)【ニュース】

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気になる記事

気になる記事を見つけました。「救急車有料化」。まだ決まったわけではなく、財務省の見解とのことですが、命に直結することですのでとても気になります。救急車の有料化が良いことなのか悪いことなのかの判断は、難しいところです。

軽症者の救急車使用

近年、救急搬送者の数が増えていますが、そのうちのかなりの割合を軽症者が占めていると問題になっています。軽症者が安易に救急車を利用することで、本当に必要なときに使えない、と言ったことが生起する可能性があるのです。

財源・警鐘として

今回の財務省による救急車有料化提案の狙いは、歳出改革です。日本の国家予算は厳しい状況にあり、その健全化は喫緊の課題です。また、安易な救急車使用を抑止する効果も狙っているのかもしれません。

仮に有料化した場合

本当に軽症者の利用は減るのでしょうか?確かに、数万円の利用料は抑止になるかもしれないが、一部の人は「それなら安い」と考えるかもしれません。マイケル・サンデルの著書「それをお金で買いますか (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」にちょうど似たような事例が紹介されていました。託児所への子供の迎えに遅れた際に罰金を課したら、かえって遅れてくる親が増えた、というものです。いままでモラルによって守られていた所に市場原理を持ち込むことで、人が損得勘定で動くようになることを示す好例です。仮に救急車を有料化しても、軽症で使用しても数万円程度の費用なら安いと考える人たちは、これまで以上に利用する可能性もあるわけです。

所得によって

有料化された場合のことをさらに考えます。まず、裕福な人ならば有料化されたとしてもためらわず救急車を呼ぶことができます。では、所得の低い人はどうでしょうか?迷うような状況では、救急車を呼ぶのを躊躇する割合が高くなるのではないかと思います。

【まとめ】

・お金持ちが救急車を多用し、重症者に行き渡らない。

・判断に迷うような傷病の場合、迷わず119可能なお金持ちは手厚い治療を受けることができる。所得が低い人は、様子を見ているうちに症状悪化する場合もありある。

極端にまとめましたが、こんな事態もあり得るということです。救急車の利用をお金の対価、つまり「商品」だと考えるのならば、これで良いのかもしれません。しかし、救急車は公共サービスの一つです。税金で運用されているならば、市民は等しく利益を享受する権利があるはずです。

救急車を「商品」と捉えるのか「公共サービス」と捉えるのかは、国民次第です。市場原理主義では、この救急車の例のように人の命もお金で左右されるようになってしまいます。逆に、公共サービス・富の再配分を進め過ぎては社会主義国家になってしまいます。

どちらが良い、と単純に言い切れる問題ではありません。常に社会の動きに関心を持ち、考え続けましょう。(自戒)

 

 

 

 

それをお金で買いますか 市場主義の限界

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