油断すると、私たちはいつの間にか資本主義の仕掛けに踊らされ、何かの依存症にさせられてしまう。お金を使うということは、常にそうした危険をはらんでいるのです。(本文より)
【紹介】
元外務省主任分析官である佐藤優さんによるお金に関する本です。佐藤さんはロシアの専門家であり、マルクスにも精通しています。資本主義的な考え方にとらわれていない主張が見所の本です。
【感想】
外交や諜報の最前線という、大金の飛び交う世界で活躍してきた佐藤さんですが、この本の内容は堅実です。
「企業(資本家)は、利益を社員(労働者)には分配しない...」(本文より)
人に雇われる立場(労働者)としての限界を指摘しつつ、いかにお金に振り回されない生き方について書かれています。
300万円、400万円稼いでいれば、自分を卑下する必要などない...(本文より)
「高負担・低福祉」「二極化」というキーワードに沿って進んでいくこれからの社会では、たくましく生きるヒントが市場経済的な価値観とは別なところにあるように思えるからです。(本文より)
消費税はどんどん増税されていますし、その他の税も今後上がっていくでしょう。かといって今の日本の財政状況では、高福祉国家になることもありえません。格差が広がり、久二男も頼れない状況でいかに生きていくかが今後の課題となります。
先行きの見えない状況で、怪しい投資話や自己啓発本が目につくご時世です。そんな世の中に警鐘を鳴らし、お金に飲み込まれない生き方を提示しています。
(おわり)