猫兎ライフ

美味しい食べ物にうまい酒、面白い本に楽しいゲーム、それさえあれば幸せです。

『シャドーモセスの真実』【読書感想文】メタルギアソリッド サブスタンス I (METAL GEAR SOLID SUBSTANCE I)/野島一人/角川文庫

   

f:id:catrabbitnekousagi:20151112210410j:plain

2005年、伝説の英雄ソリッド・スネークが、絶海の孤島で見た真実!(オビより)

 【紹介】

 大人気テレビゲーム、「メタルギア」シリーズの3D(SOLID)第1作となる「メタルギアソリッド」のノベライズ作品です。元ネタのメタルギアソリッドは1999年にプレイステーション用ソフトとして発売され、その後は幾度かリメイクがなされています。

 

   

 

【感想(ネタバレ最小)】

非常に面白い小説でした。サイコ・オクトパスのマインドリーディングやマルチエンディングなど、文章化は不可能とも思われるメタルギアソリッドのノベライズを見事に成し遂げています。小説ならではのレトリック(表現技法)を用いて、ゲームプレイ済みの読者も納得の内容が書かれています。

物語は、ある少年がシャドーモセスでの出来事を追体験しながら進んでいきます。ゲームには存在しなかった少年が語り手となりますが、違和感は全くありません。むしろ語り手である少年が感じる不信感や不安感こそが、われわれゲームプレイヤーに沸き起こった感情そのものです。少年は出所不明のメールに翻弄されます。そしてメタルギアソリッドというゲームも途中から誰も信じられないような状況に陥ります。実物のゲームをプレイした者ならば感じたであろうモヤモヤ感が見事に再現されています。

メタルギアソリッドVファントムペインも先日発売され、「メタルギアサーガ」も完結を迎えました。今一度原点に立ち返るためにも、この小説は読むべきです。ゲームと比べ、小説はストーリーに集中することができるので、内容がよく頭に入ります。私も読みながら、「そうだったそうだった」と思いだしたり、「そうだったか!」と新たに発見しながら読みました。

原作の雰囲気が一切損なわれていない良小説です。ぜひ一読あれ。

(おわり)