あるものの重要さを訴えるには、それがもはや失われてしまったことを説くのがもっとも有効だ。(本文より)
【紹介】
大人気ゲーム「メタルギア」シリーズ完結編、メタルギアソリッドVファントムペインのノベライズ作品です。
【感想(ややネタバレ)】
オープンワールドとなり、これまでのシリーズと比べ格段に自由度の上がったこのMGSTPPをノベライズするのは大変だったと思います。それでもMGSPW、MGS1、MGS2と書いてきた著者である野島一人さんは、見事に小説化を成し遂げています。
この小説では、物語の語り手としてレナードという人物が登場します。ゲームには出てこなかったキャラです。情報担当としてスネークやオセロット、ミラーと絡みますが違和感は全くありません。むしろ、こういうキャラもゲームにいたかもしれないと思わせるほど自然な存在です。なので、新キャラだと読まず嫌いしない方が良いでしょう。
シリーズ最終作にふさわしい大どんでん返しのストーリーでしたが、私はそれによりこの物語の価値が失われるとは思いません。
エイハブと呼ばれるおまえたちの意思と行動こそが、真にビッグボスと呼ばれるにふさわしい物語だったのだ。(イシュメール、本文より)
世界を売った男の真実がどうあれ、この物語ではエイハブこそがビッグボスなのです。
これでメタルギアの物語が終わってしまうのかと思うと寂しく感じます。できれば、メタルギアとメタルギア2の3D化・小説化を希望します。
(おわり)