【紹介】
「ローマ人の物語」シリーズで有名な、塩野七生さんの新シリーズです。今度はギリシア人についての物語です。
【感想】
①「ローマ人の物語」でのギリシア人に対する言及があまりに少なかったことと、②「民主主義」という言葉をよく耳にするようになった昨今だが騒々しい議論からは有効的な対案が生まれない現状、の2点を踏まえてのこのシリーズの開始だそうです。
「ローマ人の物語」は全15巻(文庫版では全43巻)という長さでしたが今作については、
・・・全三巻にはなってしまうかも。それでもこれ以上にはならないと思う。(本文より)
とのことでした。ローマ人の物語Iで取り上げたくらいの期間でギリシアの歴史は終わってしまうそうなのです。
私は文庫版のローマ人の物語を読みましたが、全て読むのに半年くらいかかった記憶があります。今回のギリシアシリーズは短いようですが、寂しいやらほっとするやら微妙な心境です。
ギリシアといえば映画「300 <スリーハンドレッド> 」で有名なテルモピュレーの戦いがあります。以前、何かでテルモピュレーの地形を調べたことがあるのですが、そこまで険しい地形ではなかったと記憶していました。ずっと疑問を抱いていたのですが、その答えが書いてありました。
かつてのテルモピュレーの難路は、今ではさして難路ではなくなっているのだ。(本文より)
かつての難路はローマ人の手によって拡幅されていたようです。
・敵の分裂を期す目的で成される策略は、敗北を喫した戦闘の後にやるものではない。
・人間とは、何もスパルタ人にかぎらなくても、既成事実のない段階で正論を聞かされても、必ずどこか文句をつける箇所を見つけるものである。
・使命感に燃えている人々に、他社の生殺与奪の権利を与えるほど、危険なことはないのである。
(本文より)
上記引用のような「歴史に学ぶ教訓」(いわゆる塩野節?)もあり、読んでいてふんふんと感心してしまいます。こういった教訓は単体だとただの言葉の羅列に過ぎませんが、歴史から学ぶと説得力が違います。
おそらく年1冊くらいのペースだと思うので、2016年末の第2巻の発売が楽しみです。
(おわり)