知らぬ人はいない、ホメロスの「イリアス」を読んだ。
ホメーロスによって『イーリアス』が作られたというのは、紀元前8世紀半ば頃のことと考えられている。『イーリアス』はその後、紀元前6世紀後半のアテナイにおいて文字化され、紀元前2世紀にアレキサンドリアにおいて、ほぼ今日の形にまとめられたとされる。(wikipediaより)
タイトルは有名だけど、通読した人はそんなに多くないのではないかと思われる本のひとつだ。厚手の文庫で上下2巻。ギリシア神話の神々が出てくるし、人名も聞きなれぬものばかり。加えて岩波文庫特有の読みづらい文体。読み終えるのに相当時間がかかった。そして疲れた。
読み始めてしばらくすると、戦いの様子もイメージできるようになってきたので、何事も慣れが大切だなと思った。字面だけを追っているといかにも退屈になってしまうが、戦いの情景を思い浮かべると手に汗を握るようで良い。もとは吟遊詩人などにうたわれる物語だったのだろう。同じような表現の繰り返しが多い。原語での韻の踏み方や言葉のリズム・抑揚も気になってくる。
内容は、トロイア戦争を扱ったものなので、みんな殺したり殺されたりしている。戦況も押したり押されたり。あと神様連中戦いに介入し過ぎ問題(笑)。かわいそうとか、ひいきにしてるとか、お供え物をくれるとか、そんな軽い理由で人間を助けたり邪魔したりしてる。ギリシア文化圏の神様との距離感がうかがえる。
約2800年前に海の向こうの遠い異国で生まれた物語を、こうして現代の日本で日本語で読むことができるというのは感慨深い。
(おわり)