【紹介】
ニッポン放送アナウンサーである吉田尚記さんの著書です。本書は、ニコニコ生放送で話した内容を構成したものです。
【概要】
目次
基本編
はじめに コミュ障の私よ、さようなら
1 コミュニケーションとは何だろう
2「コミュ障」だった私
3コミュニケーションというゲーム
4ゲーム・プレイヤーの基本姿勢
5沈黙こそゴール
技術編
6コミュニケーション・ゲームのテクニック
7質問力を身につける
8キャラクターと愚者戦略
9コミュニケーションゲームの反則行為
まとめ コミュニケーションは徹頭徹尾、人のために
あとがき
この本はコミュニケーションンとは何か?というところからスタートします。著者独自のコミュニケーションに対する考え方に基づき、具体的なコミュニケーション技術が書かれてます。
【感想】
著者自身、「コミュ障」出会ったことの暴露からこの本は始まります。もともとがニコ生の放送内容なので、書かれている文章は話し言葉で読みやすいです。
著者は「コミュニケーションの目的は、コミュニケーションである」といいます。コミュニケーションの目的は意思の伝達なのだから、最低限の意思の疎通ができればコミュニケーションに不足はなという考えも耳にしますが、コミュニケーションに悩みを抱えている人は、仕事などの必要な意思の疎通は可能であることが多いようです。いわゆる「コミュ障」と呼ばれるような人は、何気ない会話や場の雰囲気に合わせた行動が苦手なのです。コミュニケーションのあり方は定まったものではないが、ギリギリ最低のベースラインとしてのリテラシーや技術は習得可能であると著者は主張します。
コミュニケーションの目的をコミュニケーションそれ自体だと捉える主張が面白いです。意思の疎通ではなく、会話のやり取りにこそ目的があると考えると、コミュ障打開の糸口が見えてくるような気がします。「コミュ力」が高い人達が無意識のうちに処理しているような対人技術を、本書では詳しく説明されています。まさに、コミュ障の人向けの本です。
・・・感覚ではなく基本として、精神論ではなく技術として、コミュニケーションのメカニズムをできるだけ底の方から明らかにしていきたいと思います。
「心」だとか「思いやり」だとか、曖昧模糊な文脈で語られることの多いコミュニケーションを、技術として捉えています。精神論は伝達が困難ですが、技術ならば再現性があります。
コミュニケーションの基本、それは自己顕示欲が発揮できる営みではないということです。
コミュニケーションが怖くなってしまう原因の一つは、他人から自分がどう見られているかを気にしすぎてしまうことです。コミュ力が低いとみられてしまう原因の一つは、自分を良く見せようと、自慢話を続けてしまうことです。軸を他人に置くことが、良いコミュニケーションの基本です。
具体的な技術の話はネタバレになってしまうのでここでは紹介しませんが、どれもコミュニケーションには必要なものばかりです。私もコミュ障だった時期があるので、良く分かります。人と接したいけど、どうコミュニケーションを取れば良いのか分からないという人にオススメの本です。
一方で、意思の疎通ができればコミュニケーションはいらないと考えている人は押井守さんの『コミュニケーションは、要らない (幻冬舎新書)』を読むと良いでしょう。コミュニケーションは必ずしも必要というわけではありません。
(おわり)