猫兎ライフ

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こころの処方箋【読書感想文】河合隼雄/新潮文庫

   

 

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【紹介】

臨床心理学者である河合隼雄さんの著書です。

 

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)

 

 

【感想】

臨床心理学とは、うつ病を始めとする「心の病」の治療を目的とした学問です。臨床心理学は英語で「clinical psychology」と言います。著者である河合隼雄さんは、日本の臨床心理学に多大な貢献をした方です。臨床心理系の本を読んでいると、必ずと言って良いほど名前も目にします。

この本は、長年臨床心理の現場に関わってきた著者の、心との関わり方の本です。わかっているようで理解できないのが人の心です。仏陀レベルで悟りを開かなければ、自分の心もままなりません。

この本では、平易な文章で「こころ」との付き合い方が書かれています。目次を眺めるだけでも、考えさせられる内容です。

1 人の心などわかるはずがない

3 100%正しい忠告はまず役に立たない

16 心の中の勝負は51対49のことが多い

21 ものごとは努力によって解決しない

38 心の支えがたましいの重荷になる

43 家族関係の仕事は大事業である

52 精神的なものが精神を覆い隠す

54 「幸福」になるためには断念が必要である

(目次より)

 その辺の自己啓発本に書かれているような薄っぺらい内容ではありません。かといって、専門用語が飛び交う難解な内容でもありません。著者の経験と見識の奥深さが感じられる内容でした。ストレス社会で戦う我々現代人必携の1冊です。

(おわり)