【紹介】
新潮文庫版の「戦争と平和」第4巻です。最終巻です。ナポレオン率いるフランス軍に攻め込まれたロシアが戦況を巻き返して戦争に勝利し、その後の物語が語られることろまでが書かれています。
【感想】
まずは自分を「よくやった」と褒めてあげたい気分です。1巻を読み始めてから優に半年以上が経ちました。この間に他の本も読んでいたとはいえ、これはかつて読んだ本の中でも最長の部類に入ります。
この4巻では、トルストイの歴史観が所々で語られつつ、ロシアがフランスに勝利したこと、登場人物たちのその後まで書かれていました。非常に長い話だったので感想を書こうにも悩んでしまうのですが、一番印象に残っているのはクトゥーゾフです。
クトゥーゾフはロシア軍の司令官としてナポレオンと対峙し、ついにはフランス軍をロシアの地から追い返します。名将として名高いナポレオンとは対照的に、これを打ち破ったクトゥーゾフの名前はこの小説を読むまで聞いたことがありませんでした。決して派手なところはないが常に冷静沈着で、「余計なことをしない」といういぶし銀な戦い方で勝利をおさめます。クトゥーゾフはこの時すでに高齢で、過去の戦争で右目を失っていました。「隻眼の老将」。素敵な響きです。
この「戦争と平和」といい「罪と罰」といい、ロシア文学は重厚です(物理的に)。
(おわり)