猫兎ライフ

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これは愛の物語だ【読書感想文の書き方】題材『100万回生きたねこ』/佐野洋子/講談社

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世の中の学生さんたちは、夏休みの終わりまであと10日を切ったところでしょうか。そろそろ宿題に焦り始める時期です。最近、「読書感想文」という検索ワードでこのブログを訪れて下さっている人もいるみたいなので、私なりの読書感想文の書き方を紹介しようと思います。

題材として、佐野洋子さんの絵本である『100万回生きたねこ』を使用します。このブログの他の記事のように読書感想文をかきながら、赤字で書き方の説明を加えていきます。

本の選択「100万回生きたねこ」

課題図書等で指定されていなければ、どんな本を選ぶかは自由です。絵本でも、辞書でも構いません。絵本は基本的に子供向けに書かれていますが、書いているのは大人です。制限された文量の中で簡単な語句のみを用いて書かれているので、読みやすくそれでいて内容が詰まっています。

また、辞書の読書感想文だなんて、と感じる方もいるかと思いますが、発想次第では書けるものです。出版社ごとに装幀を比べてみたり、同じ言葉を調べてどれだけ詳しく書かれているかを比較してみるのも面白いかもしれません。 

タイトル「これは愛の物語だ」

感想文のタイトルは、「100万回生きたねこを読んで」のような単純でひねりのないものよりも、自分の言葉を考えるとオリジナリティが出ます。本の内容や読んで感じたことを端的に表す言葉が見つかればGoodです。

 

   

【紹介】

紫綬褒章受章の絵本作家・エッセイストである佐野洋子さんの絵本です。第1刷は1977年発行で、手元にあるこの本は2014年発行の第108刷です。長年にわたり親しまれている有名な絵本です。

文の書き出しは、本の紹介から入るとスムーズです。この本のように有名なものばかりではなく、マイナーな本の紹介をすることもあるでしょう。読書感想文を読む人がわかりやすいように、簡単な紹介から書き出すと親切です。

この本は、作者の佐野洋子さんが有名であることと、版を重ねて長年読まれているのが特長であるので、紹介の文に組み入れました。

【あらすじ】

100万回もしんで、100万回も生きたねこがいました。立派なオスのとらねこである彼は、王さまや船のり、どろぼう等の飼い猫として生を受けてきました。その彼が100万回の生で初めてのらねこになり、いっぴきのうつくしい白ねこと出会います。

物語を読んだのならばあらすじ、実用書ならば概要があると親切です。まだその本を読んだことがない人が読書感想文を読む可能性もあるので、ネタバレしないように注意しましょう。うまいあらすじを書けない人は、本の帯や、文庫本であれば表紙裏にプロの人が書いたあらすじがあるので参考にしましょう。

本の紹介とあらすじがあるだけで、かなり親切な読書感想文になります。宿題で書いている人にとっては、よい文字数稼ぎにもなります。

 【感想】

この物語は、泣けます。 全部で30ページほどの本なのですが、後半は涙なしに読むことができませんでした。

あるとき,ねこは だれの ねこでも ありませんでした。

のらねこだったのです。

ねこは はじめて 自分の ねこに なりました。

自分が大好きだったねこは、初めての野良猫としての生を謳歌します。100万回生きて、常に他人の管理下にあったねこが、野良猫になって初めて自分の人(猫?)生を歩み、初めて他の猫を愛する様子がかかれています。100万回生きて、他人との付き合いに辟易したねこが、初めて自分から他人に興味を持ち始める様子に、自分を重ねてしまいました。

子供向けの絵本ですが、輪廻転生という仏教的な死生観と、キリスト教的な愛が書かれています。愛することを知ったねこは、二度と生き返ることはありませんでした。

子供のときに読むのと大人になってから読むのでは、感じ方が異なります。大人になってから読めば、これはまぎれもない愛の物語であることがわかります。読むたびに異なる側面を見せてくれる、奥の深い物語です。

本を読んでどう感じるかは人それぞれなので、感想は何を書こうが自由です。まず最初に本全体を通して感じたことを書き、あとは引用を交えつつ気になった 部分の感想を書くとまとまった印象に仕上がります。

 (おわり)

 

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)