猫兎ライフ

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とりとめのない話が長々と続く本【読書感想文】『ウィトゲンシュタインの愛人』デイヴィッド・マークソン著/木原善彦訳

 

ウィトゲンシュタインの愛人

ウィトゲンシュタインの愛人

 

 アメリカ実験小説の最高到達点

とカバーの折り返しに書いてあった。

デイヴィット・マークソンという名は聞いたことがなかった。向こうでは結構有名な人だったらしい。2010年没。

ウィトゲンシュタインは、名前はかろうじて聞いたことがある気がする。たしか哲学者かなにかだった気がする。

地球上にただひとり残された人間が、何を書き綴るか?という実験小説なのだろう。まあ、とりとめのない話が長々と続いている。何の脈絡もなく話は始まるし、書いている途中で中断したりするので文と文の間で時間が飛んだりするし、主人公の名前も明らかになっていなかった気がする。読みづらい。けれども、地上にひとり残された人間が文章を書くとこんな感じになるのかもと思ったり。カレンダーなんか気にしなくなるだろうし、生活しながら書けば当然間が空くことになる。日記のような文章で自分の名前を連呼する奴も存在しない。

ホメロスとかドストエフスキーとかフェルメールとかブラームスとか、芸術系の話題への言及が多いのも特徴的。

これ訳すの大変だったろうなぁ、と思う。主人公の記憶があいまいだから、1行まえに書いたことが即訂正されてたりする。時系列もなんかあやふやだし。芸術系の話題も、幅が広いし、嘘だか本当だか分からないことを書き散らしているので。

正直言うと、読んでいる途中でダレてしまった。だがそれでも、面白い(funというよりinteresting)本だった。

(おわり)